相続を心配するほど財はなし? 2008/09/01
このような相談がよくあります。
「父が亡くなりました。
49日の席で、父の預貯金は兄姉三人で等分に分ける、と伝えましたら、
姉から思いがけないこと言われました。
私の住んでいるこの家も、父の名義だから、その価値分も、
3人で分けなければ、と言うんです。
私は次男ですが、両親と一緒にずっとこの家で暮らしています。
家を分けると言われても、私達家族が住んでいる家ですから・・」
「ずっと仲良く行き来していて、親の介護も一緒に仲良くやってきた兄家族、姉家族です。
父の預貯金は1000万と少し、
父からは、お前達が使えばよいから、と言われていたのですが、
そんなことも出来ないからと、3人で等分しようと、我々夫婦は考えたのです。
まさか、家も等分してほしいなんて・・。」
相続で考えなければならないことが、2つあります。
納める、ということと、分ける、ということです。
納める、というのは相続税のことです。
相続税は、相続が発生した翌日から10ヶ月以内に払わないといけません。
ここでクイズです。
日本人で、相続税がかかる人はおよそ何パーセント?
① 4パーセント ② 30パーセント ③ 60パーセント
日本人で、実際に相続税を払わなければならないのは、100人のうち5人程度と言われています。ほとんどのケースには相続税は掛かっていません。
それは、
相続税の控除が大きいからなのですが、まず、5000万までの相続には税金はかかりません。そして、たとえば、
配偶者と子どもが法定相続人の場合
5000万円+(1000万円×相続人数)
この金額まで、相続税はかかりません。
ですので、これ以上の財産を相続する場合には、
相続税の心配をする必要があるというわけです。
そして、
考えなければならないことのもうひとつは、分ける、ということです。
さてクイズです。
相続の時、何らかのトラブルがあった人は?
① 7人に1人 ② 70人に1人 ③ 700人に1人
分ける、というのは誰にどのように分けるか、と言うことですが、
この分ける、と言うことに関しては、
10人の内、1人以上が何らかのトラブルがあり、
家庭裁判所の調停、審判の件数は毎年うなぎのぼりで、昨年は14万件を超えています。
裁判所まで行かないトラブルはもっと多いはずですねえ。
そしてその内訳は、
遺産額が5000万以下のケースが、5000万超の倍以上あり、
遺産は多額ではないのに、争いの件数は多い、これが相続の実態です。
また、
相続というと、プラスの財産、と思いがちですが、マイナスの財産もあります。
借金をしたままなくなった場合は、
その借金も相続人は引き継がなくてはなりません。
この場合は、全部引き継ぐ場合と、〈単純承認〉
引き継ぐプラスの財産の範囲で、借金も引き継ぐ、〈限定承認〉
全部放棄する〈相続放棄〉
この中から3ヶ月以内に決めて裁判所に届けます。
どれだけ借金があるのか、どれだけプラスの財産があるのかわからない場合は
調べるのに時間がかかりますから、
その場合は、限定承認をしておくことがいいと思われます。
相続放棄は、法定相続人が1人でできますが、
限定承認は、法定相続人全員で手続をしなければなりません。
分け方が決まったら、遺産分割協議書を作っておくと、
銀行や不動産などの名義変更のときは便利ですし、
後で問題が起こらないようにするためにも作るほうがよさそうです。
このように全員の合意で、協議書が作れればいいのですが、
多数決ではなく全員の合意が必要ですので
、話し合いが付かない場合は、家庭裁判所で調停、審判、という手続になります。
相続というのは、
大金持ちで、隠し子がいて、兄妹仲が悪くて、遺産を狙っている人がいて、
と、そんな場合だけではありません。
誰にでも必ずあることです。
少しの預貯金だけ、年金をコツコツ貯めたお金だけを残して亡くなったとしても、
その人の残されたお金は勿論、使っておられためがねも時計も、カバンも遺産です。
そして、その遺産は、誰かが継いで行くことになります。
「姉の言ってることが法律に合ってるんですねえ。
調停や裁判なんて絶対に嫌ですから、家も土地も換算して3等分することにします。
兄はいらない、と言ってくれますが、そんなわけにもいきません。
ちゃんと3等分することにしました。
父が遺言を残しておいてくれれば良かったのですが・・・・・
いやいや、私に全額をゆずる、なんて書いた遺言なら、
もっともめることになったかもわかりませんねえ、これで良かったです」
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