被後見人には、選挙権がないのは違法と訴え・・のニュースにあれっ?2011/01/14

昨夜、ニュースを見ていてアレッ?と思いました。
ちょうど今月末、来月と、後見制度についての講座依頼を受けていることもあって、
あ、それ違う、と思わずTVに向かって言っておりました。

被後見人が娘さん、後見人がお父様、
後見手続きをする前までは、選挙の棄権は一回もないという娘さん、
このところ選挙の封書が届かないのでおかしいなあ、と調べてみたら、
被後見人になると選挙権が無くなることが分かった、
これはおかしいという訴えでした。

テレビに映っている娘さんを見ていて、思いました。

なんでこれだけしっかり話ができる方に後見の審判が出たの?
被後見人になると、こういうことができなくなります、の説明はなかったの?
後見から保佐、補助への変更ができることも、裁判所は説明していないの?
いろいろ疑問が出てきます。

法テラスでいろいろな相談に対応しています。
後見制度についての相談は、法テラスが発足した頃はほとんどなかったと思いますが、
ぼつぼつ、
「認知症の親の生活費を出すために、親の通帳を持って銀行に行ったら、
 こうけんせいどとか言うのをするように言われたけれど、なんのこと?」
「判断ができなくなっている親に相続の話が持ち上がったので、裁判所に行ったら
 法テラスで相談するように言われた」など、
制度についての相談が主でした。

それがここ2,3年でしょうか、
「兄弟が親の後見人になっていることを、全く知らなかった。こんなことがあるのか」
「交通事故で娘が判断ができない状態になって3年になる。
 自分達が元気な間は世話ができるが、親がいなくなったらどうしたよいのか。
 後見制度はどのように使えるか」
など、相談内容が具体的です、また現在この制度を使われている方、その周辺の方からの相談が増えています。

昨秋、裁判所で成年後見制度の説明会がありました。出席しました。
その説明会を思い出していました。

参加者は一般の方もおられましたが、福祉や制度の周辺の方が多かったと思います。
先に、どれくらいの知識を持っているか、どんな目的でこの説明会を申し込んだのか、
等の質問があったうえで始まったのですが、
終了しての質問時間も短く、質問によっては「裁判所は中立な立場なので」を理由に答えてもらえないこともしばしばで、
怒って席を立たれた男性もおられます。

「裁判所は中立の立場」なので、とは裁判所でよく聞くセリフです。
それぞれ個人個人の立場で違うので当然だとは思うのですが、
これでは、申し立てをする前に、しっかりと情報を持って、
「うちの場合はどうなるのか」
「こういう場合はどうするのか」など、具体的に確認をしたうえで、
申請手続きをすることが必要やなあ、
そんなことを思いながら座っていました。

多分、裁判所から、後見人であるお父様に微に入り細に入る説明がなかったとしか思えません。
TVの短いニュースでしたが、そこから拝見した限り、
この娘さんが後見なら、どんな状態の人が保佐や補助と判断されるのだろう、
と思います。

後見か保佐か補助かの判断は、
診断書と調査官の面接で決まる場合もあるようですが、
鑑定医による鑑定書で裁判所が判断をするとなっています。
まずここで、どのような鑑定がなされて、裁判所が判断したか、です。
ここで、後見だと鑑定し判断したのなら、
被後見人は印鑑証明ができないこと、選挙権が無くなること、
などを説明するべきでしょう。
また、
この判定に納得できなければ、異議を申し立てることがで出来ます、
と伝えるべきでしょう。

決まった後見人の異議申し立てはできませんが、
後見か保佐か補助かは異議が言えます。

後見でスタートしたけれども、力が戻ってきて判断ができるようになったなら、
後見から保佐へ、保佐から補助への変更願いが可能であることも、
きちんと伝えるべきでしょう。
被保佐人、被補助人には、印鑑証明や選挙が出来なくなる規制はありません。

成年後見制度は、
判断力が衰えた高齢者や障害者が地域の中で、
健常者と同じように生活できることが当たり前の社会であること。
自分のことはできるだけ自分で決める、
そうできるようにサポートする法的制度としてスタートしています。
自己決定権の尊重です。

例えば、
被後見人が作った遺言は有効か?の相談があります。条件がありますが有効です。

民法973条1項に、
「事理を弁識する能力を一時回復した時において、医師2人以上の立ち合いがあれば可能」、
であり、民法962条には、「後見人がそれを取り消すことはできない」、とあります。
であれば、
被後見人から印鑑証明や選挙権を奪うことはいかがなものか、とも思います。

そんなことを思いながら、
管内閣のあれやこれやの後に流れたこのニュース、見ていて思ったことでした。

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