成年後見制度 後見信託って?2011/05/28

★成年後見制度 後見信託って?

前回、被後見人に選挙権がないのは違憲、として訴えられた方のことを書きました。
後見制度を利用するまでは毎回欠かさず選挙に行かれていたその方は、
最近選挙はがきが届かないことを不思議に思われ、
問い合わせてはじめて、被後見人には選挙権がない事を知った、ということでした。

この一連の動きと、テレビに映るその方の言動に、私はなぜこのような能力のある方が、後見なのだろう。
裁判所の審判は正しいのだろうか、そんなことを思った、
という内容でした。

その後、後見制度の勉強会などで、この話題になったとき、
あそこまで能力があるのに、なぜ後見なのだろう、保佐、補助ではないのか、という意見もある中で、
次のような説明がありました。

人は、ある部分の能力はしっかりしていても、財産の管理や契約などの判断能力はない、
という場合はよくあること。
当然そのような鑑定が出れば、審判は後見になる。

なるほど、私の大変浅い知識での前回の文章になりました。
疑問を持ったおかげで、知識の確認ができました。
と、なると、
被後見人は選挙権を自動的に失う、というのは合点がいかない、その通りです。
裁判の経過、決定を注目しています。


後見信託という言葉が、この正月ごろ突然ニュースになりました。
これは、被後見人などの生活費以上の財産は信託銀行に預けて、後見人等の負担を軽減しようとするものです。

多くの財産を持っておられる方が、後見制度を利用しようと裁判所に申し立てた場合、
親族が後見人等になることを希望しても、
裁判所は、弁護士や税理士、司法書士などの専門家を押す場合がある。
その場合、親族であれば後見人等への報酬は必要ない場合が多いが、
専門家であれば支払うことになり、支出が増える。

そこで、生活費以外の財産については、銀行に信託することによって、
専門家でなくても親族が財産管理もしやすくなり、
後見人等が勝手に大きなお金を引き出すことも難しくなる。
これが後見信託の主旨だとのニュースでした。

法テラスでも、後見人等が勝手に預金を引き出している等の相談も増えていますので、
このニュースを読んだ時、なるほど良い制度だな、と単直に思いました。
ところがよく考えると、
これは後見制度本来の目的と違った方向に向いているのでは、とも考えられます。

被後見人等にとって一番良い方法を、本人の財産の範囲で検討をするのがこの制度の基本ですから、
財産の多くを信託することは、その財産を使って被後見人の生活の利便を図ろうと思っても、
裁判所、銀行と手順を踏むことが面倒になって、ま、このままでいいかっ、となってしまわないか。
また、
親族が相続を考えて、出来るだけ財産を残そうと信託した財産を本人のために使うことをしなかったり、
いろいろ考えられることに気が付きました。

どんな制度も完璧ということはありませんが、この後見信託も、
司法書士や弁護士など職業後見人が所属するところからの反対も強く、
そこに震災が起きたこともあり、動きは止まっています。

今回の震災で、被後見人等、後見人等共に行方がわからなくなられていたり、
預かっている通帳などの書類や記録も事務所ごと流されてしまわれたり、と問題は多くあるはずです。
このような場合はどうするのか、裁判所に問い合わせましたが、
回答は、
この制度は申し立てが前提、そのために裁判所が、実情を調べるなどは今のところは出来ない、
とのことでした。

申請をした経緯や書類は、当該の裁判所だけが把握しているわけですから、
特別法を立ててでも、動く必要があるだろうと思うのですが。

今日も、ケアマネージャーの方から、相談がありました。
「お金の出し入れの判断が難しくなっておられる方で、後見制度が必要かと思うのですが、
親族は関わりたくない、と言われるのです。何か方法はありますか?」
市町村によっては、親族がおられても事情によっては、
市町村申し立てができる場合があることを、説明させていただきました。

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